相撲の世界にも様々なしきたりや作法といったものがあり、力士が土俵で取り組む以外にも多くの「伝統」が土俵の周りには息づいています。白熱する取組みを見るだけではなく、この小さな「相撲の世界」に少し目をやると、更に楽しくなるはずです。
そんなちょっとした「相撲の“???”」をご紹介致します。
相撲用語解説
「あ行」
往なす(いなす)
相手力士が出てくるところを、自分の右か左に身をかわすこと。
逃げるのではなく、相手の体に軽く手を突くような感じで触れます
相四つ
得意とする組み方が同じ力士同士の取組。
右手を相手の左の懐に差して組み合った体勢を「右四つ」、左手を相手の右の懐に差して組み合った体勢を「左四つ」という。
(「けんか四つ」の反対語。)
アンコ型
丸々と太った体型の力士。魚の鮟鱇(アンコウ)に由来している。
「か行」
ガチンコ
大相撲において真剣勝負を意味する隠語である。
稽古場で力士が激しく当たり合うとき、「ガチン!」という音がするところからきている。
また力道山以降、大相撲の慣習・文化が多数取り入れられた日本のプロレス界においても、同様の意味で用いられる。反対語はブック(大相撲においては注射)。
決まり手
「決まり手」または「極まり手」と表記されます。
その意味は相撲で勝負が決まった時の技を言葉で表現することで、アマチュア相撲でもこの決まり手を決定しています。全部で四十八手と言われてはいますが、実際は82手もあります。
けんか四つ
得意とする組み方が違う力士同士の取組。
例えば、右四つが得意の力士が左四つの力士と対戦した時、先に右手を相手の左の懐に差して組み合うと、俄然有利になる。
(「相四つ」の反対語。)
「さ行」
四股
「四股」とは相撲力士の基本運動のひとつで、足腰を鍛える重要な動作です。別名「力足」とも呼ばれていて、邪気払いの力があるといわれる動作で、大きく二回四股を踏むという儀式をしてから土俵に上がります。
十分(じゅうぶん)
最も自分の力を発揮できる体勢。
例えば右四つが得意の力士なら、右手を相手の左の懐に差して廻しを取り、左手で相手の右腕越しに廻しを取って組み合った状態が「十分な体勢」となる。ただし、突き押し相撲が得意な力士にはあまり使わない言葉である。
初切、初っ切り(しょっきり)
相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する見世物。
相撲の取組の前に決まり手四十八手や禁じ手を紹介するために江戸時代から行われていたが、現在では大相撲の花相撲や巡業などで見ることができる。
ソップ型
痩せている力士、脂肪が少なく筋肉質の力士こと。
スープのだしを取る鶏ガラのように痩せ細っているという意味だが、悪く言っている訳ではない。
「た行」
立合い
相撲において、力士同士が蹲踞の姿勢からお互いの呼吸で立ち上がって相撲を始める瞬間を「立合い」と呼んでいます。
その語源は、力士同士が呼吸をあわせて「立ち合う」ことから来ています。アマチュア相撲では審判の合図で立合います。
タニマチ(谷町)
相撲界の隠語で、ひいきにしてくれる客、または後援してくれる人、無償スポンサーのこと。
現在では相撲界以外に野球界、プロレス界などの他のスポーツ、また演歌界を中心に芸能界でも幅広く使われる。
電車道
立ち合いから一直線に寄り切られ、または押し出されること。
略して「シャミチ」と言ったりもする。「今日横綱にシャミチで持っていかれた」という風に使う。
力水(ちからみず)
大相撲における儀式の一つで、力士が土俵に上がったときに他の力士から渡される清めの水で、神聖な土俵に上がる時に身を清めるために使われる。
「や行」
横綱相撲
実力に勝る側が、正攻法で戦い、勝つべくして勝つこと。
もともとは相撲用語のはずだが、現在では他のスポーツや勝負事全般に拡張して用いられている。「正々堂々」という側面を強調する語である場合もあるし、奇襲や奇策を必要としないだけの実力差があることを示唆している場合もある。